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株主総会を開いていない会社の問題(企業法務)

2024-01-23

1. 同族会社やワンマン会社の問題

同族会社やワンマン会社では役員選任や役員報酬について、株主総会を開催せず、決議したかのような議事録だけを作成して処理しているところがあります。

親族株主の仲が良い、またオーナー社長が他の株主を制御できているときはよいのですが、株主同士が仲が悪くなったり、オーナー社長が亡くなったりして相続人間で揉めたりしますと、例えば役員は本当は選任されていないのに、選任されたことになって報酬を得ているのはおかしいなどとして株主総会を開いていなかったことが問題視されることも多々あり、最終的には株主総会不存在確認の訴えを起こされることもあります。

2. 株主総会不存在とは

株主総会の不存在とは、決議が事実としてないのに、決議があったかのように議事録が作成され、登記がなされたような場合をいいます(最判昭和38年8月8日民集17巻6号823頁)。

その他にも、決議は存在しているが、法的な瑕疵が著しくおよそ決議があったとはいえないと評価されるような場合も含まれます。

このような場合は株主総会決議不存在確認の訴えを提起することができます(会社法第830条第1項)。

提訴に期限はなく、原告は株主のほか、取締役、監査役、執行役等も原告になることが可能です。

3. 株主総会不存在を主張された会社の対応

現実に株主総会が開催されていない場合、会社としては株主総会決議不存在自体を否定することはできませんので、新たに役員選任を議題とする株主総会を招集し、株主総会を開催して役員選任の議案を可決させること、また過去の役員報酬についても有効とする議案を可決させること等が解決方法となります(もちろん、こちらが株主の多数派であることが前提となります)。

この場合、株主総会招集のために取締役会を開催するなどしなければなりませんが、過去において取締役全員が株主総会により一度も選任されていないことが考えられます。

このように取締役の人数を欠いた場合で、株主総会も開催できない場合は、裁判所に対して一時役員(仮取締役)の選任を申し立て、裁判所が一時役員を選任することになります(会社法346条2項)。

一時役員は原則として裁判所が選任する弁護士など、立場的に中立の者がなります。

また、一時役員選任の申し立てを行う場合は、一時役員の報酬を担保するため、予納金の納付が命じられます。

一時役員を選任せず、株主総会で選任されていない取締役が株主総会を招集することは招集手続の瑕疵となり株主総会決議の取消事由となりえます。

この場合、株主は株主総会の決議の日から3か月以内に株主総会決議取消しの訴えを起こすことができます(会社法第831条第1項第1号)